世に流行る“映え”写真というものがピンと来なかった。
乗り物雑誌編集という仕事を30年以上続けてきたものだから、車体の置き写真だったり各部の寄り写真だったり、撮影対象物をより忠実に、アタマからシッポまでキリリと全ピン、背景はボカして対象物を浮き立たせるのが良い写真と教わり妄信してきましたから。ええ、フィルムの時代からね。そんな仕事がら、やたらとハイキーなイメージ写真だったりあり得ない彩度の写真なんてのは視界の外にあったわけです。
そんなアタクシですが、最近はちょっとその“テ”の写真が気になります。
“SNS映え”や“映え”というコトバをwebで調べたりしますと、見栄えのする写真、カラフルな写真、盛った写真(?)なんて並んで、要するに目を引く写真あるいは目を引くために装飾した写真ってことになるのかな。仕事で使ってるCanonのdppとAdobeのPhotoshopでグリグリしたらなんとかなるのかしら。
と、考えてハタ! と気づいた。アタクシ、すでにそんな加工をしてるじゃん。雑誌掲載写真に。レンズの収差を直して色温度を見て、コントラストイジって細部を見せるためにシャドー部をあげて最後にシャープネスを……。カメラマンさんから上がって来た納品データはもとより、自分でパチクリ撮って来た写真も。んで、お仕事の写真を作るわけですよ。
ああ……。アタクシが“映える”写真を撮ろうとするに足りないのはセンス、そしてイメージを膨らませる努力なのかもな、といまさら気づいた2024年12月26日でした。
写真は今年の春先、CanonのPowershot S120で撮りました。神奈川・新江の島水族館裏での西浜の夕景。1/1.7型1210万画素機だけど、RAWで撮りフォトショでグリグリして、アタクシなりに満足のいく仕上がりになりました。え、もっと紅い方が映えるって?